2008年09月16日

試聴会

 たまには物書きっぽい話も書いてみる。

 音楽ライター(さんやら編集者さん)は、発売前の音源を聴いて原稿を書くわけで、それには試聴盤(プロモ盤)というモノが配布されて、それをまずはじっくり聴くのである。そしていち早く(=まだ多くの人が耳にしてはいない)音源を聴くことができた特権を活かして、それを文字にしたためるわけである。これは音楽業界が長年に渡って踏襲してきた仕来りであり、実際、ラジオ媒体と同等に、プロモーション効果があったメソッドである(ある時期までは)。まあ、近年では、ライターやラジオDJ(あるいはクラブDJ)よりも、お店のバイヤーさんに大量のプロモ盤が配布される、という現実があったりもする。バイヤーさんが一番、売れるための切り札を握っているからだ。

 それはそうとして、自分がそういうプロモ盤を配布する立場になると(つまりレーベルというものを運営することになると)、理不尽な出来事に山ほど直面する。

 頑張って送り届けた(はずの)プロモ盤(not for sale)が某オークションで転売されているのを見た時のショックは言葉にならなかった。なるほど、こうやってプロモ盤には通し番号が振られたり、試聴会でないと聴くことができないようにされたりするわけか、と非常に納得できた。

 性善説に立つのか、性悪説に立つのか、そういう話にもなってくるが、なんだか世知辛い。世知辛いが、極めてシビアなヒップホップ、R&Bの世界はいち早く対策を練り、それ以外では無邪気な配布が続いている。でも、それが悪いわけでもない。

 自分のところに、試聴会とやらのお知らせがくると違和感を禁じ得ない。試聴会??? 笑っちゃうね。その場で通して聴いて、一体何が分かるのか、と。それで分かったようなこと書いて、何が面白いのかと。そう毒づきたくもなる、アホみたいなシステム。大体、音楽は、いろいろなシチュエーションで聴かれて、そして発見があるものだと思っている。決められた時間に決められた場所で聴いて、何が分かるのだろう。だから、プロモ盤というものが配布されて、それを何回でも、どういう状況でもいいから、聴いてくださいね、そして良さを発見してくださいね、というものだと思っている。そのそもそもの回路を切断してしまったら、何も残らないんではないか。まあ、映画の試写会も苦手だったが、あれはまだ致し方ない部分が分かる。試聴会ほど醜悪なものはない(行ったことないけど)。だったら文字情報だけで想像させ、エレクトさせる方がよっぽど健全だろう。


posted by 原 雅明 at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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