2007年07月03日

reflection interview その2

――穿った見方をしてしまうと、トレンド――まず世の動きがあり、それらに対しどう反応していくのか。現在は加速度的に高まっているような気がしますが……しかしリフレクションで言えば、未開のものに分け入っていく感覚ですよね。音楽的原動力だったのかなと。

「常に自分たちが聴いたことのない音を作りたい。そういう気持ちで作ってきました。子供の頃からNWを聴いていて、非常に不思議な印象を受けたのですが、それは自分にとっての原点なんです。奇妙で不思議で、聴いたことのない音楽。リスナーとしては、誰かがそういう音楽を作れば聴いてみたいですし、自分は作ってみたいと」

――アルバム『music bizarreness』のライナーでは、作品を出すにあたりひとつのきっかけとなった――再び東京に出てきたことと、その印象を書かれていました。お仕事の都合ということでしたが、久しぶりの都会から受けた殺伐とした印象ですとか、東京で暮らす僕にとってもシンパシーを感じる内容でした。この街から受けるグロテスクな感情的触感と言うんですか、明らかにこの何年かで加速しつつあり、僕もメディア稼業に従事していながらアレではありますが……メディアの所業が増幅させている感は拭えません。

「こっちに来る前、実は川崎に住んでいたんですが、その時にはこのような感じ方をすることはなかったんです。ただ、4年もこちらでの生活を送っていると、いまの東京からは感覚以上に身体に違和感が来たというのがありますね。……とても不自然で人工的ですし、分析してどこがどう変わったとかは言えないんですが、当然空気も違いますし……いま住んでいるところは、東京から電車でたった2時間半なのに、こうも違うのかと。概念的なことはその後ですね。社会、経済的なことが、先程『加速』と仰いましたけど、人間の生活が明らかにナチュラルではない方向に向かっていると。人間も動物なのに、こうも不自然な方向に向かうのはどうなのかと。なかなか言葉では説明出来ない部分ではありますが。
 今回のアルバムを出そうとは、元々考えていなかったんです。ただ、原(雅明)さんからある日連絡をいただき、なおかつ東京に出て来る中で自分が得たアイデアですよね。作品を出すきっかけになりまして」

――ライナーにも書かれていましたが、そのアイデアとは何だったのでしょうか? 改めてではありますが。

「作品を人前に出すということにどれだけの意味があるのかと。それがまずありまして……いまでもわからないんですが、アルバムというものが世の中に出て行って、どういうモノになっているのか? リスナーの手に届き、どんな影響を与えられるのかということなんです。ファースト・アルバムを出した頃を思い返すんですが、あの作品がリスナーやシーンにどんな影響を与えられたんだろうかと考えていまして、セカンドの頃になると、疑問は懐疑に変わっていきました。
 ただ、今回は原さんたちのお陰で、割合ストレートにリスナーに届けることが出来、いい影響を与えられることが出来たのかなとは考えています。しかし、通常のレコード会社を通した場合ですと、リスナーはシーンであるとか、メディアにおける先入観に捻じ曲げられてしまって、純粋な形で伝わらない。概念で縛られてしまって、音が純粋な形で伝わらないと。それはこちらが意図してコントロール出来ませんし、だったら金銭欲とか、それ以外の部分で作っていけるのかと。詳しくはライナーにも書きましたが、そういう考えがありながらも、再び東京に出て来た時に今回の作品が頭に浮かんだんです。自分が受けた感触が、作品を出すことで誰かに伝わるのだったら、もしかしたらポジティブな作用になるかもしれないと。
 アルバムは4年前に作り終えていて、それも作品を出す要因になっています。制作を終えた頃は、完全な脱力状態だったんです。作るのにあまりにも時間がかかり過ぎてしまったし、苦労も多かった。作り終えた時点では、『次をどうしよう』とか考えられない状態だったんですね。しかし4年過ぎたことで、アルバムの別の側面が見えてきました。川崎で何年もかけて作ったものなんですが、その時の記憶が東京に再び出て来た時にオーバー・ラップしたんですね。生活の状況、考え、忠実になぞっているじゃないかと。よもや、そのディティールが東京に再び出てきて蘇るとは思いませんでしたが」

――ライナー・ノーツの中では、「都会で音楽を作ること=自分の中に小宇宙を取り込むこと」というようなことが書かれていましたが。いい表現だなと。

「はい、田舎で4年間も暮らしていますから、極端な環境をふたつ見てきたんです。ここ(外房)にいる時には、音楽に自然な形で打ち込める。邪念が入らずに。しかし、週に3〜4日であれ、東京に出てくるようになると、侵食されるというか……生活をしていかねばならないし、どうしても仕事に時間を取られてしまうんです。若い時には意識しなかった(谷口一郎さんは現在41歳)ことではあるんですが、危機感を感じますね。音楽に打ち込む純粋な気持ちが失われてしまう――それだけは避けたい。だったら、多少自分にプレッシャーをかけてでも、初期の気持ちを失わずにやっていこう。聴いたことのない音楽を作りたい、あるいは聴きたい。子供の頃からずっと考えていたことなのですが、例えばNWでの不思議な体験と、ほんの一瞬だったけれどもその時感じることの出来た希望と自由。いまでも脳裏にこびりついていて、そういったものに対する衝動を失いたくない。小宇宙を取り込むというのは、そういう意味で使ったんだと思います」

(つづく)


posted by 原 雅明 at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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